Tetra-PEG gel

 

ハイドロゲルは、高分子の三次元網目が溶媒として水を含んだものであり、生体軟組織と類似の構造を有しています。

そのような類似性より、生体内で用いられるバイオマテリアルとしての応用が期待されています。

バイオマテリアルには、生体内という過酷な環境で様々な機能が求められます。

真に役に立つバイオマテリアルを創るためには、ハイドロゲルの物性の制御が不可欠です。

ハイドロゲルの骨格である高分子の三次元網目を制御することができれば、ハイドロゲルの物性の制御が可能となります。

しかしながら一般に、網目状高分子は不均一な構造をしており、構造の制御が困難であることが知られています。

そのために、ハイドロゲルの物性制御は一般に困難であるとされてきました。

Hydrogel, made by Toyoichi Tanaka

Ronnie Coleman, from his instagram

それに対して、私たちは、極めて均一な構造を有するハイドロゲルを世界で初めて作製することに成功しました。

具体的には、相互に結合可能な官能基を持つ2種類の四分岐高分子を合成し、それらからハイドロゲルを作製しました。

私たちは、四分岐のPolyethyleneglycol (PEG)からなるこのハイドロゲルをTetra-PEGゲルと名付けました。

Tetra-PEGゲルは、構造が明確なために、構造と物性の相関を調べる研究対象としてうってつけの材料です。

ハイドロゲルの構造と物性を調べ、ゲルの理論体系を強固にすることは我々の大きな目的の一つです。

Heterogeneous network structure

Tetra-PEG gel