ハイドロゲルをつかう
ハイドロゲルをつかう
ハイドロゲルが体内で果たすことができる役割は、様々あります。
例えば、「 薬を徐放する」、「細胞の足場になる」、「軟組織を代替する」などです。
いずれの役割にしても、当たり前ですが、周辺組織を傷つけないことは最低限必要とされます。
そのような安全性を担保するためには、もちろん生体に刺激の少ない化学物質である必要がありますが、生体に与える物理的な影響についても考慮する必要があります。
その1つは、ハイドロゲルの持つ固さ(弾性率)です。
周辺組織と比べて固すぎる場合、周辺組織を傷付ける可能性があるので、ゲルは、周辺組織と近い弾性率を持つ必要があります。
もう1つは、ハイドロゲルの膨潤圧です。
生体内には、豊富に水が存在します。ハイドロゲルは一般に、水中で膨潤する傾向を持ちます。
膨潤する圧力は周辺組織を傷害する程度に大きいために、特に閉鎖空間においてゲルを用いる場合には、注意する必要があります。
このように、安全性一つ取っても、ハイドロゲルに求められる性質は多岐に渡ります。
実用化のためには、安全性を担保しつつ、物質の放出を制御したり、細胞の成長を促したり、高い力学特性を維持したりといった、高次の機能を付与する必要がありますので、場当たり的な設計では目的の機能を持ったゲルをつくることは困難です。
私たちは、これらの機能を独立に制御すべく、ハイドロゲルの網目構造と物性・機能の相関を調べ、理論体系を構築するところから研究を進めています。
最近では、「水中でも膨らまず、弾性率が制御可能で、かつ高い力学特性を持つゲル」など、複雑な機能を有するゲルをつくることが可能になりつつあります。
Highly stretchable hydrogels
Highly stretchable hydrogels