ハイドロゲルをつくる

 


ハイドロゲルの一種であるゼリーなどを思い浮かべると、ハイドロゲルは固体のような性質と液体のような性質の両方を持っていることが何となく実感できると思います。


ただし、物質としてみた場合、ハイドロゲルは流れることはなく、手にとって持ち運ぶことができるので、実は固体です。

ゲルは多くの場合、もともとゲルではない液体なので、ゲルをつくる時には液体が固体になるという変化が起こります。

この変化を、ゾル・ゲル転移、もしくは単にゲル化と呼びます。


ゲル化前には液体であるので、注射器から出したり、型に入れて任意の形に変形させたりすることができます。

一方で、ゲル化した後には固体になるので、注射器から出したり、大きく変形させたりすることはできなくなります。

例えば、ハイドロゲルを成型する必要があるときは、ゲル化時間が早すぎると成型に必要な時間がとれなくなります。

止血のためにハイドロゲルを用いる場合、ゲル化時間が長すぎると固まる前に溶液のまま流れてしまいます。

すなわち、ゲル化時間は適切に制御される必要があります。














Fabrication of Tetra-PEG gel


また、ハイドロゲルを生体内でつくるためには、ゲル前駆体や反応そのものの生体適合性も重要になります。

さらには、ハイドロゲルを組織表面にうまく塗布するためには、ゲル化前の溶液の粘度特性の制御も重要です。

これらすべてを含めた、ゲル化の制御は、ハイドロゲルを実用化する上できわめて重要なファクターです。

私たちは、物性の制御性を損なわずに、ゲル化の制御を行うことを大きな目的の一つとしています。